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展示案内

Sake
鮭 1877頃 高橋由一

多くはないとしても江戸時代以前に西洋の絵画は何らかの形で幾度か渡来し、影響を受けた絵師たちによる西洋風の表現が絵画史に足跡として残されている。ただ、それは局所的な現象であり、遠近法に代表される西洋の技法が用いられる場合も、伝統画の土壌において新たな表現手法として試みられたものだった。 それが開国によって様相が一変する。明治政府による近代化政策が推進され、文明開化の足音に導かれ国民の間に進取の気勢が一気に盛り上がる。西洋画への関心の高まり、お雇い外国人による指導、欧州への留学者、西洋画材の流通、等々。こうして日本人による西洋画というジャンルが、まったく新しい美術表現として誕生した。

明治・大正 (1868 - 1926)
明治時代になると、近代化=西洋化が国家目標となり、美術分野でもお雇い外国人による指導が行われ、芸術の本場フランスへ留学する者も出てくる。 その始まりは先端的で小さなものに過ぎなかったが、やがて歴史の本流へとつながっていく確かな潮流だった。 一辺倒な思想や因習がまだまだはびこっていた近代という時代の黎明期、先進的な人々は変わりゆく世に豊かさを渇望するとともに、突き動かされるように新しい表現を実現しようとした。
明治後期から大正期にかけては、産業革命に連なる世界的な経済構造変革の影響を受けて工業化や都市化が進み、西洋文化に刺激を受けた新しい文芸・絵画・音楽・演劇などの芸術が流布して、思想的にも自由と開放・躍動の気分が横溢し、都市を中心とする大衆文化が花開く。
一方、富国強兵政策に係わる国威の発揚、日露戦争の勝利に象徴される世相の高揚感は、この時代に活力を与えるとともに日本をより混迷な状況へと導いていく。

昭和・平成 (1926 - 1989 ・ 1989 - )
昭和初期になると、国家権力による芸術の統制や戦争・恐慌などの時代の閉塞状況を反映し、より社会意識を伴った芸術潮流が広がりを見せてくる。自由な芸術活動に対する制限、弾圧が顕著となり、戦時下においては国民の戦意高揚のため、多くの画家が戦争画を描き戦争協力に加わることになった。 そして社会システムが大きく変転し、日本人は精神的に大きな転換を迫られることになる。否が応でも時代に翻弄される画家たち。
アンフォルメル、国際化、抽象表現主義、コンテンポラリーアート。美術の定義があいまいになり、独創であることが尊重され、ハイパー化する芸術家があふれてくる。

現代アート
現代アート隆盛のこの時代、はたして何を持ってアートと呼ぶのか。 もはや我々一般人はノスタルジックな古典作品との対話にのみよりどころを見出すしかないのだろうか。 身近になるとともに、分散される。何とも皮肉なものだが、原点に戻れば人に行きつく。そこに何らかのヒントがあるかもしれない。 人が表現するもの、それは見る人がいるから表現される。そこに、人が創るものとしての存在価値が内在する。 何か強い印象を与える、感動させる、それは、そこに人、作る人、見る人、人間、文化、世界、そして自分、を見るからかもしれない。

名画展覧
日本の西洋画の至宝を展覧あれ。

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